「東京しごとセンター」のヤングコーナーでは、採用・育成ご担当者、経営者向けの採用・育成ノウハウを学ぶセミナーや、若手社員向けに職場定着につなげるための講座等を随時開催しています。

今回は、若手社員の職場定着を目的とした「ビジネス力UP講座」のセミナーレポートです。社会人に必要なビジネスマナーやコミュニケーションスキルを向上させるために参考となるお役立ち情報を提供しています。

●ビジネス力UP講座とは
都内中小企業等の入社3年以内の若手社員を対象に、社会人基礎力から仕事の応用力まで、段階的に力がつくプログラムを実施しています。若手社員の人材育成や、職場定着の一環として、ぜひ、ご活用ください。

ビジネス力UP講座 入社2~3年目の正社員対象
基礎編:頼られる存在になる!「仕事の進め方」
1日目:「PDCAサイクルの基本」

入社2~3年目の社員が、日々の業務をスムーズするために知っておくと便利なのが「PDCAサイクル」です。この講座では、日々の業務の進め方を振り返りながら、グループワークを通じてPDCAの基本や上手な回し方を体感しながら学んでいきました。

PDCAPLANDOCHECKACT)の基本

1. PDCAサイクルとは?
2. PDCAを活用することで仕事だけではなくプライベートも上手くいく
3. PDCAサイクルを上手く回すために
4. CHECK(評価)とACT(改善)の方法をしっかりと掴む!

1.PDCAサイクルとは?

PDCAとは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Act(改善)」の略語のこと。目標を決めて計画を立て、計画に基づき実行し、実行したことを検証し、目標を達成するために必要な工夫や改善をすることです。このサイクルを繰り返すことで、業務を効率良く進めて成果につなげたり、人間として成長できるという考え方です。製造業の現場だけではなく、多くの企業で活用されています。

2.PDCAを活用することで仕事だけではなくプライベートも上手くいく

PDCAサイクルを回す上で、大切なのは、目標を設定し計画を立てることです。目標を認識しながらPDCAサイクルを回し続けることで、業務をスムーズに進めることができるだけではなく、主体性を持って行動することができます。
是非、知っておいて欲しいのは、仕事だけではなくプライベートでもPDCAサイクルを回す習慣をつけることです。長い社会人生活を過ごす上で、ライフ・ワーク・バランスを保つことはとても重要なこと。人生の目標を実現するためにも、計画を立てて行動し業務を効率化することで、プライベートを充実させることができます。そのため、若いうちから、PDCAサイクルの回し方を身に付けることをオススメします。

3.PDCAサイクルを上手く回すために

講座では、PDCAサイクルを身につけるために、自分の業務をPDCAの考え方にあてはめて整理していきました。PLANDOCHECKACTのそれぞれの項目に業務を書きだし、現在、どんな状態で業務をすすめているか可視化することで、上手くPDCAを活用できているかどうかチェックしていきます。

ある受講生の記入例を紹介します。

P:○月にお客様に製品を顧客に納入するという目標に向かって
D:○○という業務を実行中だが
C:いつも納期に間に合わないので、段取りの見直しや適切な業務量かどうか検証したところ、材料の調達に時間がかかっていることがわかった
A:仕入先の納期が適切かどうか、別の取引先にも確認することで、改善につなげていく

上記のように、いつも取り組んでいる業務を、PDCAの考え方にあてはめて書きだしていくことで、業務全体を見通すことができます。これが、PDCAを上手く回すはじめの一歩となります。

4.CHECK(評価)とACT(改善)の方法をしっかりと掴む!

PDCAの肝となるのが計画と目標設定です。入社1年目の社員の場合は目標に向かって、PLAN(計画)、DO(実行)を繰り返して、業務を覚えていくという方法でも良いかもしれません。しかし、2~3年目の社員の場合は、PLAN(計画)、DO(実行)はいうまでもありませんが、CHECK(評価)やACT(改善)を実行できる力を身につけて、自ら課題を解決できる人材に成長して欲しいものです。何を確認して、どう評価するのか? その計画はそもそも合理的なものか? といった改善策を見出すスキルです。一人で身につけていくのは難しいため、はじめは同僚や上司と一緒にグループで相談しながら取り組んでいきましょう。

育成担当者に伝授します! 教え方のポイント

PDCAサイクルとは?」と受講生に聞いたところ、約8割が知っているという回答がありました。しかし、正しい意味を理解し、活用している方はまだまだ少ないようです。実は多くの企業で、PDCAサイクルの定着化に苦労しているという現実があります。PDCAサイクルは回せば回すほど良くなり効果があります。じっくりと習慣化するために、上司や育成担当者に必要なことは、目標設定や計画は実行する前に確認する、改善策について提案があればしっかりと耳を傾けて、一緒に検討してみる。納期やコスト、品質といったPDCAを回すために必要な要素についての質問には明確に回答する。このようなことを心掛けながら、成長を見守っていきましょう。

【講師】齋藤 ただし 氏
米国CCE, Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー
未就職者および就労者向けに講義・講演の講師、研修プログラム作成、
キャリアカウンセリングといった状況に合わせた形での⽀援事業を⾏う。
専⾨分野は、気づき気づかせ、⾏動に繋げる講座進⾏。
独⾃講座スタイルは、「本⼼への投げかけによる⾃⼰認識と⾏動変容への導き」