ご利用者プロフィール
Kさん、男性。ヤングコーナー利用時25歳。大学を1年半で中退後、教職を目指し再度大学へ。アルバイトで始めた塾講師の仕事に興味を持ち、その道に進むべく就職活動を開始。その後、方向転換したが上手くいかず東京しごとセンターを訪れた。信頼できるアドバイザーとの出会い、カウンセリング、セミナーによって自分に欠けていたものを補い、医療関連企業の営業職に就く。

はじめは、どこでも良いから内定が欲しかった

塾講師を目指して就職活動を始めたそうですが、まずはそのあたりの経緯から教えてください。

Kさん:就職活動の話をする前のことを少しお話ししますと、一浪して入った大学を中退して、その後、教職を目指して大学に入り直しました。この時の3年間で塾講師のアルバイトをしたことがきっかけでした。

バイト先は個別指導塾で、生徒の多くは、学校の勉強についていけなくなった子どもたちでした。たとえば「算数ができない」と親御さんに連れてこられた子どもであれば、まずはその学年の算数で何が分からないのかひと通り聞いてみます。そこで、割り算ができないことが分かったとします。ここで「割り算が分からない」と決めつけてはダメで、前学年で教わる九九ができるか遡って探ってみると、そこでつまずいているというようなことがあるんです。

このように、一人ひとりに向き合って、分からないところを探って、特定して、教えて、その生徒ができるようになるというところにやりがいを感じて塾講師だけに絞って就活してみました。

結果はいかがでしたか?

Kさん:数社受けてみたのですが、まったく上手くいきませんでした。アルバイトの経験もあるし、塾講師としての喜びも経験しているので、どこかから内定をもらえると思っていたのですが、甘かったようです。

その後の活動は、どうされたのでしょうか?

Kさん:塾講師以外に選択肢を広げて就活しようと思ったのですが、その頃には新卒採用枠へのエントリーを締め切っている企業も結構ありましたし、大学に入り直していた自分の年齢にハンデも感じて焦りはじめました。

どこでも良いから内定が欲しくて、あらゆる業界、職種に応募してみました。最終面接まで進めた企業もいくつかありましたが、最終的に内定がいただけたのは1社のみでした。

この頃、使えるサービスはないかとネット検索していて東京しごとセンターの存在を知り、利用してみようと思いました。

内定をいただいたのに、「センターを利用してみよう」と思われたのは、なぜでしょう? その内定では納得できなかったということでしょうか?

Kさん:内定は「来る者は拒まない」という企業のものだったのですが、誰でも良いから人数を確保しているというような印象を持っており、今ひとつ好意を持てませんでした。それに、本当にやりたい仕事かどうかも分からず……。

この内定を辞退すると就職先はない。でも、この内定を受け入れると離職することが目に見えている。そんな苦しい思いからしごとセンターを訪れたことをよく覚えています。

無理をして、苦しんでいた自分に気がついた

しごとセンターでは、どんなサービスを利用されたのですか?

Kさん:ちょうど「業界職種勉強会 職種編 営業」というセミナーがあったので試しに参加してみることにしましたが、ここでちょっとした発見がありました。

営業の仕事で大切なのは「お客様がお困りのことをヒアリングで引き出して、信頼関係を構築すること」とのことでした。これを聞いて自分が個別指導塾で生徒たちに対してやっていたことと同じだと感じたんです。

ここまで内定がもらえなくて落ち込んでいましたが、自分にもできる仕事があるかもしれないと思えるきっかけになりました。

それから、ヤングコーナー併設のハローワーク飯田橋U-35で、心理カウンセリングの専門家の方にも相談しました。就職活動が上手くいっていないこと、学生時代のこと、大学を中退した時の葛藤、それ以前の幼少期のことなどを話しながら、自分は子どもの頃から内向的で、何でも悪い方へ考える傾向があり、そういう自分を隠したいために、本心を語らないようなところがあることを一緒に振り返りました。

専門家の方からは、そういう自分を取りつくろって見せたり、無理に変えたりする必要はないとのアドバイスをもらいました。このカウンセリングで、気持ちが楽になったのと同時に、まわりの人と同じように見せようと無理して就職活動していたかもしれないと感じました。

また、アドバイザーの栗田さんに出会えたことは大きかったですね。もらった内定の話をした時のことなのですが、「来る者は拒まない企業からしか内定をもらえないような自分だ」そんな話をすると、「それは違う」と言われました。

誰にでも内定を出すような企業なんて世の中にない。そんなに自分を低く見ないで、内定をもらったことに誇りを持って欲しいとのことでした。

専門家の方からのアドバイスとも重なったこともあって、この言葉がすんなりと自分のなかに入ってきたんですよね。自分の悩みをちゃんと理解してくれていると感じました。このことで、栗田さんにならば何でも話せると信頼するようになりました。

そんなやりとりがあった後に「利用できるものは、何でも利用してみよう」と栗田さんからアドバイスをもらい、しごとセンターのあらゆるサービスを利用してみようと思いました。「ミニツクゼミ」「コミュニケーション基礎」「熱意ってどう伝えるの?」など、本当にたくさんのサービスを利用しましたね。

利用したサービスで就活に役立ったものや、自分のためになったもの、印象的なことなどがあれば、教えてください。

Kさん:自己理解セミナーを受けた時にとても印象的なことがありました。同じグループに自分のように内向的なタイプの方が参加されていたのですが、その方から「自分の弱点を見つけて克服しようとしているところを見習ってがんばりたい」というようなフィードバックをもらったんです。

ちょうど自分の性格を受け入れて、次のアクションを起こそうとしているところでしたので、同じようなタイプの人からそんなふうに評価されて、とても嬉しく思ったのと同時に「がんばらなきゃ」と励まされました。

それから、「応募書類の書き方」もとても役に立つセミナーでした。応募書類の書き方はもちろん、送付状、面接のお礼状のサンプルや書き方まで、自分はこのようなことをまったく知らなかったので、「そんなことも知らずに、就活していたのか!」と思いました(笑)。

中途採用でよく用いられる職務経歴書ですが、新卒採用でも使えることを教えてもらったのも収穫でしたね。塾講師のアルバイト経験をアピールするために、実際に活用しました。

背伸びしない自分に内定をくれたから、納得できた

医療機器メーカーに就職されたそうですね。どのようにこの会社に出会ったのでしょうか?

Kさん:就職先は、しごとセンターを利用していたからこそ出会えた会社なんですよ。ものづくり企業ばかりが集まる合同説明会があったのですが、そこに参加している1社として出会いました。説明会でこの会社の企業理念に共感して、応募してみることにしたんです。

採用されると、まずは製品を使用してくれるお客様を知るために営業に配属され、お付き合いのある現場をまわることが主業務となるとのことでした。ユーザーに直接話を聞けるところが面白そうだなと思いましたし、たくさんの患者を助ける医療を裏から支えることができるところも魅力に感じました。

そうでしたか。センターで多くのものを身につけられたので、応募や面接もスムーズだったのではないですか?

Kさん:そうですね。でも、いざ応募しようとするとやはり不安で書類の添削を栗田さんにお願いしました。自分の正直な気持ちを表現したつもりだったのですが、とても褒めてくれたことを覚えています。おかげで応募書類だけではなく、面接にも自信を持って臨めました。

スムーズに進んだことも良かったのですが、応募書類も面接も“正直な自分”で臨めましたので、納得できる就職活動になりましたし、“正直な自分”に内定を出してくれた企業でしたので安心して受け入れることができました。

今になって考えてみると、しごとセンター利用前は、本当の自分を隠して、いろいろと無理をしていたような気がします。そんなふうに就職活動していたから上手くいかないし、もらえた内定も“本当の自分”で応募したものではないので、納得できるはずもないですよね。

自分と同じように、背伸びをして就職・転職活動して、苦しい思いをしている方もいらっしゃると思いますが、そんな方は、東京しごとセンターに来れば、何か気づきや、発見があると思いますよ。

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担当アドバイザーからのコメント

初めてお会いした時には、すでにいろいろな方に相談されていたようですが、それでも今ひとつ自信を持てず、自己否定感を持っていらっしゃったKさん。そんなKさんでしたが、いろいろとお話をするなかで自信を取り戻すと持ち前の行動力を発揮して、あっという間に内定を勝ち取っていました。入社後も会社の方々に溶け込み、特に年配の方々からとても可愛がられているようです。順応力も大したものですね。これからのご活躍を楽しみにしています。

担当アドバイザー:栗田 博夫