深掘り質問とは?

「深掘り質問」とは、面接で質問に答える求職者に対して、面接官が「なぜそのようにしたのですか?」、「その時どう思ったのですか?」と、話を深く掘り下げるような質問の仕方で、1990年半ば頃から見受けられるようになりました。もちろん、それ以前にも深堀をする面接官もいましたが、確固とした裏付けはありませんでした。

それまでの日本企業の人事考課においては、主に『潜在能力』が重視され、すなわち「まだ見えないが、多分持っているのであろう能力」を評価していました。その後、アメリカ国防省が「コンピテンシー評価」という概念を採用し、その概念は徐々に日本企業にも浸透し始め、高業績を上げている人のコンピテンシー(特性)を基準にした『顕在能力』に着目するようになりました。つまり、「持っているのであろう能力」を評価する人事考課から、「既に行動に表れている能力や特性」を評価するという人事考課に変わってきたのです。

それらの影響を受けて、採用面接においても潜在能力ではなく、顕在能力を見ようということになったのです。以前は「あなたを色で例えると?」など、あまり深掘りしても意味のない質問をしていましたが、今は、「その時、なぜそのように考えたのですか?」など具体的な事実を「なぜ、なぜ」とぐいぐい聞くような質問になっていきました。公務員においても2006年度から国家Ⅰ種(現在の国家総合職)の人物評価で「コンピテンシー評価型面接」が導入され、東京都や特別区でも取り入れるようになりました。

深掘りして、何を聞きたいのか?

人の「強み」には、色々な側面があります。「性格」、「スキル」そして「特性」に分けられます。
明るい、真面目など「性格」は面接のやり取りの中で感じられるため、特別なエピソードはそこまで必要ありません。
また、「スキル」についても、求職者が入社してからでも間に合うため、専門職以外はあまり聞かれません。面接官が知りたいのは、あなたに任せたい仕事に必要な「特性」について、あなた自身がその特性を身に付けているかを知りたいのです。

「特性」とは、小さい頃から長年培ってきた行動の癖のようなものですので、一般的には忍耐力、行動力、問題把握力、柔軟性、協調性など、「○○力」や「○○性」という言葉で表現されます。面接官は、あなたの過去の経験やエピソードを確認しながら、あなたの「特性」を明らかにしようとします。あなたが自覚をしている一つひとつの「特性」について、エピソードを必ず2~3つ用意しておきましょう。「特性」は、過去のエピソードをじっくり聞いてみないと、事実かどうか、話に論理性があるか判断が難しいものです。そのため、面接官は深掘りしたがるのです。

何がわかるのか?

特性を確認しながら、あなたがやりたい職種に適性があるかを見ています。また、そもそもこの会社の仲間として迎え入れたいかどうかを見極めているのです。それは一つひとつの特性だけではなく、「性格」も合わせたあなたのトータルの人物像を見ているのです。人物像の基準が何なのか、会社によっても、職種によっても微妙に違い、言葉では表現しにくいところもありますが、ある一定の判断基準が、暗黙の中で存在するのです。

東京しごとセンターでは、セミナーや個別カウンセリングで、面接に備えて、その人の「特性」を引き出したり、またそれらを「強み」としていかに表現するかを実践的に支援しています。是非一度体験されることをお勧めします。

編集部コメント

面接の準備段階として、自己分析をしっかり行い、自分自身の「強み・弱み」を把握することが大事だとよくいわれます。
今回のコラムでは、強みを○○力や○○性という表現で表すとともに、その根拠を示すエピソードを用意すべきと言っていますね。
そうすることで本番の面接では深堀りの質問が来ても恐れることなく、より論理的に回答することができるでしょう。
1発勝負の面接では「準備」と「練習」が不可欠です。ぜひ東京しごとセンターアドバイザーと一緒に準備や練習をしてみてはいかがでしょうか。