キャリア形成とは、「将来なりたい姿」を見据えて経験やスキルなどを蓄積していくプロセスのこと。
AIなどテクノロジーの進化や、「人生100年時代」の到来により、自分自身のキャリアを前向きに考え、キャリア形成を意識した働き方に目を向けることがすごく重要になっています。
ここでは、キャリア形成に向けて今すぐできる自己分析の方法と、その時に気をつけたいポイントをご紹介します。

ますます重要視されるキャリア形成

働き方が多様化し、仕事も働き方も今まで以上に自分自身で選んでいけるようになりました。そこで注目されているのが「キャリア形成」です。一人ひとりが自分の人生を主体的にデザインしていくために、今何ができるかを考え、「なりたい姿」を目指していくプロセスのことです。

厚生労働省が企業に対して助成を行うなど、キャリア形成を支援する取り組みは急激に加速しています。テクノロジーの進化や職業人生の長期化などの時代の変化も、個人がキャリア形成をより意識しなくてはいけない状況を生み出しています。

「将来の自分自身のことなんてまだわからない」などと後回しにせず、今考えている「将来なりたい姿」を軸に、今できることを考えていきましょう。それがあなたの職業人生を豊かなものにしてくれるはずです。


自己分析からできるキャリア形成

キャリア形成の基本は「自己分析」です。
ここで紹介する「Will-Can-Must」のフレームワークを活用すると、「やりたいこと・できること・するべきこと」が整理でき、自身の価値観やできることに沿ってキャリアを考えるため、就活においてよりキャリアを意識した仕事選びが進められます。
紙と鉛筆を用意して、下の文章を参考にしながら書き出してみてください。


キャリア形成ステップ

●Will

「こんな仕事に関わりたい」「こんな立場で働きたい」「こんな働き方を実現したい」など、夢や憧れ、願望といったようなもので、働く目的に直結するとても大事なものです。

自己分析を通じて「時間を忘れるほど夢中になれること」や「小さい頃から好きだったこと」、「仕事を通じて実現したいこと」などについて考えながら、10年後、20年後にどうなっていたいのかをイメージし、言語化してみましょう。

●Can

Willに対して「今の時点でできること」で、「強み」や「得意」とも言い換えられるものです。自己分析を通じて「これだけは人に負けないこと」「周囲の人から褒められること」「今、勉強していることや磨いているスキル」などを具体的に考えてみましょう。

専門的な知識や技術など「特定の仕事で生かせるもの」と、コミュニケーション能力や協調性、他人への優しさなど「仕事内容を問わず生かせるもの」の2つの側面で考えてみると、より効果的でしょう。

●Must

Willを実現するために「現段階でしなければならないこと」で、役割や使命、周囲から求められていることです。

WillやCanは自分軸で考えるものですが、Mustについては客観的な目線を意識して考える必要があります。周囲の期待や求められていることを意識したうえで、「自分が何をやるべきなのか」を考えてみてください。例えば「◯◯の勉強をしないといけない」や「◯◯が経験できる環境に身を置く」といったふうに、Willを実現するための具体的なアクションをイメージして就職先探しに繋げていけるといいでしょう。


フレームワークを活用した仕事探しとキャリア形成

「Will」「Can」「Must」をそれぞれ書き出したら、3つの共通している部分を見てみましょう。
この共通している部分こそが、「あなたが大切にしている価値観=自分らしさ」です。
自分らしさが整理出できたら「将来なりたい姿」に向けて、今何から取り組み、どのようなことを身につけていく必要があるのか考えてみてください。
それがキャリアの道筋を考えることにつながり、さらには、目的意識を持って取り組める仕事を見つけていくことにもつながっていくのです。

キャリア形成において気をつけるべきことは?

キャリア形成について考える際、いくつか気をつけた方がいいことがあります。以下を参考にしながら、あまり難しく考えずに具体的な行動に移してみてください。

●視野を広く持つ

キャリア形成とはライフプランとも直結していることであり、「人生をどう過ごすか」という大きな枠組みについて考えることでもあります。
できるだけ広い視野を持ち、様々な選択肢の中から考えていける方が、職業人生だけでなく日々の人生も充実した有意義なものになるはずです。

●人に話を聞いてみよう

確かに自己分析は大事ですが、視野を広めるためには自分一人で全てを決めたり考えたりせずに、自分以外の人の話を聞くのもオススメです。
自分では気づけないことや、新たな選択肢が見えてくることもあります。一方で、他人と自分を比較するのはNG。あくまで自分の人生であり、自分らしさを大切に考えてみましょう。

●行動を具体的・計画にする

計画や行動目標は、できるだけ具体的なものを設定しましょう。キャリア形成においては目標に沿って行動する必要があるため、計画や行動目標が明確な方が取り組みやすいです。

●定期的に見直す

自分自身のキャリア計画は、一度決めたからといって変えてはいけないものではありません。
その時々の仕事内容や職場環境、ライフスタイルによっても変わってくるものですし、年代によってもキャリア形成において意識しなくてはいけないことは当然変わっていきます。
当然、身につけるスキルもその時々で変わってきますので、状況に応じて柔軟に対応していくことも大事です。


まとめ

キャリア形成の目的は、「自分がやりたい仕事」や「将来なりたい姿」に近づくための道筋を作ることです。
そのためには等身大の自分自身をきちんと理解し、今できることを考えながら、10年後、20年後を見据えた将来設計に目を向けていくことが大事です。
仕事選びの段階からキャリア形成を意識できれば、「なりたい自分」に効率よく近づくことができ、同時に、日々の職業人生も充実したものにできるはずです。
あまり難しく考えずに、「自己分析の延長線上のもの」として、自らのキャリアについて考えてみてください。