仕事との向き合い方を考える際に、ぜひとも意識してほしいのが「キャリア形成」です。
「将来なりたい姿」を実現するための近道にもなるキャリア形成の基本についてご紹介します。

キャリア形成とは

キャリア形成とは、仕事を通じて経験やスキルなどを蓄積して自己実現を図っていくプロセスのことです。
決して難しい話ではなく、「将来なりたい姿」を見据えてそのためにできることを1つずつ考えていく大事な作業となります。

ビジネスパーソンとしてどのように歩んでいくのかを考えることを通じて、「自分自身の人生を主体的に設計すること」ともいえます。


キャリア形成の目的

キャリア形成ができていると、「将来なりたい姿」に向けて、今やるべきことが見えてきます。
自分自身を高めることにもつながるため、希望通りの職種に就くことができたり、ステップアップやキャリアアップを通じて自分の可能性を広げていくことにもつながります。

その意味では、長い職業人生における「転ばぬ先の杖」にもなり得るのです。また、早いうちからキャリア形成を意識しておくことで、仕事探しの「軸」を見つけることにも役立てられます。


キャリア形成ステップ

なぜキャリア形成が重要視されているのか

実は今、キャリア形成が一層、注目度を増しています。その理由は次の4つです。

●終身雇用制度の崩壊

以前は終身雇用・年功序列の考え方が当たり前だったため、働く人にとって大事なことは「今いる組織の中でどういうキャリアを積んでいくか」でした。
しかし、終身雇用制度が崩壊したことで、1つの会社で働くことを軸にキャリアを考えるのではなく、広い視野で自分自身の将来について考える必要が出てきています。

●「働き方」や「仕事に求めるもの」が多様化している

副業(複業)やフリーランスなど、正社員以外の働き方が浸透し、転職も一般的なものになりました。
また、多くの企業でテレワークが導入されるなど、働く場所や環境を選んでいけるようになっています。
仕事の目的ややりがいも多様化しています。自分自身の価値観をもとに、自分に合った働き方を主体的に選んでいくことが大事になっています。

●テクノロジーの進化

AIなどのテクノロジーの進化により、人々の働き方が変わっています。
「人の仕事がAIに代替される」ともいわれる中、必要とされる人材になるためにどのようなキャリアを築くべきか、しっかりと考えていかなくてはいけません。
「自分にしかできない仕事」を意識しなければ、この先、テクノロジーに自分の居場所を取られてしまうかもしれないのです。

●「人生100年時代」の到来

医療の発展などにより平均寿命が伸び、人が仕事に関わる「職業人生」は長くなっていきます。
だからこそ自分自身の未来に対して主体的に考えていく必要が出てきています。
「10年後、20年後にどこでどんなことをしていたいのか」をしっかりと考えられている人の方が、長い職業人生をより豊かなものにしていけるのです。


キャリア形成を考えるポイント

キャリア形成について考えるためには、「将来なりたい姿」を明確にしておくことが重要です。そのためにできることを3つ挙げてみます。

●自己分析を行う

まずは自分自身にしっかりと目を向け、「自分が描きたいキャリアプラン」を考えるための土台作りをしましょう。
そのために有効なのが、「WILL(将来やりたいこと)」「CAN(WILLを実現するために現段階でできること)」「MUST(WILLを実現するために現段階ですべきこと)」の3つについて考えること。自己分析を進める際に意識してみてください。

【キャリア形成を意識した自己分析のやり方】はこちら
https://tokyoshigoto-young.jp/column/26376

●理想の人物像を具体化してみる

「ロールモデル」ともいいますが、自分が理想とするキャリアを積み上げている人がどんな人なのかを明確にしてみましょう。
両親や先輩・同僚などの身近な人を参考にしてもいいですし、メディアなどで知った「憧れを抱いた人」がどんなキャリアを積んだのか調べてみるのもいいかもしれません。

●嫌なことを考えてみる

なかなか前向きに将来の姿が具体化できない場合は、逆に「こうはなりたくない」を考えてみることも有効です。
挙げた項目について「なぜそう思うか」を1つずつ深掘りしていくうちに、「こんなふうになれるといいな」が自ずと見えてくるはずです。


まとめ

外部環境が大きく変わる中では、変化に合わせて柔軟に対応していかなければ取り残されてしまいます。
国によるキャリア形成のための支援体制が整い始めるなど、ビジネスパーソンにとって「キャリアへの意識」は一層求められるものになっていくと思われます。
「将来なりたい姿」に少しでも近づくためにも、早いうちから主体的に自分自身のキャリアについて考えてみてくださいね。