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文学部だけどIT業界を受けたい、工学部だけど広告業界を受けたい
「自分は将来どんな仕事をしたいか?」ということを、高校受験や大学受験の時点でイメージできている人はどれぐらいいるでしょうか?
多くの人は、仕事とかの観点ではなく、勉強してみたい分野や、自分が受かりそうな学部、ブランドイメージや知名度などの総合的な基準によって選んでいたりするのではないかと思います。
文学部なのにIT業界を受けたかったり、工学部なのに広告業界を受けたかったり、そのようなケースは当然のように発生します。こうした場合に、就職活動ではどのように志望動機をまとめるのがいいのか、そのポイントについてお伝えします。
学部と志望先が違っても(ほぼ)問題なし
冒頭でお伝えしたとおり、進学受験の時点で「就職先」までを考えている人は、教師や弁護士、医師、看護師、薬剤師などの専門職以外では比較的少ないと思います。在学中、就職活動を進めていく中で、どのような企業や仕事が自分に合うのか「じっくり見定めたい!」という人がほとんどでしょう。
では、学部と志望先が違う場合、諦めるしかないのでしょうか?答えは「(ほぼ)NO」です。一般的な企業の新卒向け求人を見てみると、営業職も事務職も総合職も、学部・学科に関係なく応募をすることができることがほとんどですし、ITや介護系の業界では、未経験であっても入社後にしっかりとスキルをつけていくための教育制度が整っているケースが多く見られます。
例えば、大学院にまで進学し、ロボット工学を勉強していた学生が人材会社で企画の仕事をしていたり、文学部で日本史を先行していた学生がシステムエンジアになっていたり、卒業した学部とは関連性が低そうな分野で活躍している先輩社会人はたくさんいます。
ですから、学部と志望先が違っても、多くの場合では問題ありません。ただし、やはり専門性が高い職業については相応の基礎知識が求められるケースがありますので、そのような場合は、何かしら別ルートでの自己実現を考えることが大切でしょう。
志望動機は、お互いにとっての「相性の良さ」をアピールすることが重要
どのように書けばいいか迷いがちな「志望動機」について、まずはシンプルに考えてみましょう。
企業が求めているのは、入社した後にすぐに辞めたりせずに「定着」をしてくれて、将来的にはビジネス上の「成果」を上げられるような人物です。もちろん、企業や求人の特性によって多少の違いはありますが、一般的に採用や教育にはまとまった時間や費用がかかるものなので、入社後になるだけ長く働いてくれて、即戦力じゃないにしても、きちんと会社に貢献できるような人材を求めています。
さて、これは入社を希望するあなた自身も同じなのではないでしょうか?入社した後、すぐに辞めたいと思うことなくある程度は長く働けて、ビジネス上の成果を出しながら楽しく貢献できるような仕事や職場。
志望動機を考える上では、お互いにとっての相性が良く、自分自身がこれに合致するような人物であることをアピールすればよいというのが基本になります。もちろん、受かることだけを考えるのではなく、自分との相性の良い求人をまず見つけて、その相性の良さをいかに相手にアピールするか?という考え方がとても大事です。
学部とイメージが結びつかない場合は「原体験」を用いたエピソードを!
学部と志望先が違う場合、有効な手段になるのは、その求人への応募や企業への入社を志望する動機について、ご自身の「原体験」を交えて説明することです。原体験とは、自分の生き方や考え方に大きな影響を与えた幼少期の体験のことで、人間が何かを「やりたい!」と思う源泉となり得るものです。
原体験を交えたエピソードを語り、その企業への入社を希望する理由との結びつきがきちんと説明できているケースでは、思いの強さが採用担当者へダイレクトに伝わっていくので「ああ、この人なら、入社後もうまく活躍してくれそうだな」と感じさせることができます。
原体験のエピソードは、小学生の時の経験や中学生の時の事件、高校生の時の思い出でも結構です。その人の原体験と、応募先企業の特徴がしっかりと結びつけば、学部との関連性が低くても、志望動機に説得力が出てきます。
志望動機を考えるにあたってスキルやエピソードの棚卸しをしよう
次に重要なのは、入社したらビジネス上の「成果」を上げられそうだという期待感を作ることです。社会人になった時に活かせる知識は、学校の授業で習得できる専門知識だけではありません。学外での活動や趣味を通じた経験も含めたスキルやエピソードの棚卸しを行い、「成果」を上げられる可能性についてのアピールができれば、企業としては採用したいと考えるものです。
例えば、何かしらの仮説を構築し、検証を行っていくという問題解決プロセスの推進力や、チームで作業をした時のリーダーシップや補佐的な能力、他の集団と利害をともにした時の交渉力など、それらはビジネスの現場で武器になる能力と言えます。部活で取り組んできたことや、アルバイトの勤務時間中に工夫していたこと、ゼミでの研究活動を通じて学んだことなどを積極的に盛り込んで、自分自身について積極的なアピールを行いましょう。
「違うからこその強み」を見つけられないか?
学部と志望業界がまったく異なる場合であっても「違うからこその強み」を見つけ出すことを意識しましょう。
例えば、採用担当者が持つ「なんで文学部に入ったのに、老舗の電器メーカーであるうちの会社を希望しているの?」という素朴な質問に対して、次のような回答ができるとどうでしょう?
「確かにおっしゃる通りの部分はあるかと思います。しかし御社の確固たる強みは良いものを愚直なまでに作り上げる日本メーカーならではのモノづくり精神だと考えており、今後、世の中の購買が機能的な価値だけでなく情緒的な価値などの影響を受ける世界へと変わっていくと言われている中、モノづくりと共感づくりの2つを融合させ、営業やマーケティングの仕事で世界中を幸せな気持ちにしたいと願っている私にとって、御社はまさに自分の希望にあった企業です。在学中はそのような分野の書籍を、これまでに100冊以上は読み込みました。入社させていただきましたら、最初は営業や現場で基礎をしっかりと学ばせていただき、いずれは会社の明日を切り開くような、そういう社会人としての人生をお送りたいです。」
このように、時代の差分や企業に新しい視点を提供するという切り口が、有効にはたらくケースがあります。
やはり、まずは自分が持っている知識や経験の棚卸しを行い、色々な角度から見直してみましょう。他の学生とは少し違うからこその強みや面白さを見出すことで、一味違う就活生として目に留めてもらえるかもしれません。
先輩の話も聞いてみよう
もしも、応募したい企業にリクルーター制度があったりOB訪問が可能であれば、是非つないでもらって話を聞いてみましょう。同期の話や人事の考え方などを聞くことができれば参考になる情報を得ることができます。
また、応募したい企業で「採用サイト」が用意されている場合には、先輩社員の声や活躍している人の様子が分かるコンテンツを深くチェックしましょう。学部が違っても活躍している先輩社員の雰囲気や、その企業が何を求めているかをよく研究し、それらのポイントを押さえた志望動機を作りましょう。
自分でうまく組み立てられない場合は「第三者意見」も参考に
東京都が設置した「東京しごとセンターヤングコーナー」では、学生や若者の就職支援を無料で行っており、エントリーシートや面接などの対策もすべて無料で受けられます。
経験豊富なアドバイザーが多数在籍し、同じ状況の学生さんを多く見てきているので「強みの棚卸し」や「原体験の掘り下げ」などもスムーズに進めることが可能です。
さまざまなセミナーも定期的に開催されているので、ぜひ一度利用をしてみることで、企業に評価されるような志望動機の作り方をマスターしてみてください。