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履歴書やエントリーシートにある「趣味・特技」の欄
ES(エントリーシート)の趣味・特技欄に、何を書けばいいのか迷う人はかなり多いようです。
趣味の場合、多趣味だから書けないという人、趣味がなくて書けないという人、「これを趣味と言ってもいいのかわからない」という人など、書けないといっても色々なパターンを見てきました。
特技も同様で、実績がないから特技と言えない人、他にうまい人がいたから特技と言えないという人、途中でやめちゃったから特技と言えないという人など、書くことに二の足を踏んでしまう人が多いようです。
しかし、趣味・特技欄は、うまく活用すると面接での強力な武器になる可能性を秘めている項目だと考えています。なぜならば、趣味や特技は「その人が今までの人生の中で集中して取り組んできたこと」と近しいからです。
今回は、この趣味や特技について、どのような観点で選ぶべきか、そしてどのようにアピールしていくべきかをお伝えし、書類審査や面接において武器になる項目に変化させる方法をお話ししたいと思います。
趣味・特技欄に困る理由
趣味・特技欄を書くことが苦手な人にはいくつか理由があると思います。
大きくは2つに分かれており、
- 書く内容に困ってしまうパターン
- どう書けばいいのか困ってしまうパターン
のどちらか、もしくは両方で詰まってしまっているようです。
書く内容に困ってしまうパターン
内容に対して困っているケースは、この記事の最初に記載したような内容のように、
- 多趣味
- 趣味がない
- 趣味と言うほどやっていない
- 実績がない
- もっとできる人がいた
- 途中でやめてしまった
と言ったパターンがあります。
そのほかにも、一部内容が被る部分はありますが
- (何となく)人に言いにくい趣味(マンガやアニメ、ゲームなど)
- 面接の場ではふさわしくなさそうな趣味(カラオケや居酒屋巡りなど)
- 当たり前すぎる趣味(読書や散歩など)
と言った他者から見た視点で考えて困ってしまうケースもあるようです。
どちらにしても、テーマを定めることができていない状態となりますので、まずはテーマを絞り込むこと(方法)がファーストステップになります。
どう書けばいいのか困ってしまうパターン
書き方に困ってしまうパターンとしては、
- 何を書けばいいのかわからない
- 文章の構成をどうすればよいかわからない
- ただの自慢になってしまう
- 箇条書きになってしまう
と言ったケースがあるようです。
こちらはテーマが定まっているが、アウトプットの方法がわからないという状況になりますので、アピールのための視点とまとめ方を覚えることでグッとゴールが近づきます。
趣味特技欄でアピールするために必要な要素とは
趣味・特技をうまく書くために必要な要素は、大きく4つです。
- 実績
- 解像度
- 学んだこと
- どう後につなげたか
実績は、受賞歴等の誰が見てもわかる第三者からの評価があればベストですが、もしなくても大丈夫です。
シンプルには、「他の人から見てどうか」が重要になります。
趣味であれば「他の人よりもハマっている」、特技であれば「他の人よりも上手」で問題ありません。
大事なのは相対的な評価なので、自分の中での自信がまだなくてもアピールして構いません。
何となくの基準としては、その趣味や特技をやっていない人10人と比べて、自分の方ができたり知っていたりすると思ったら書いてしまっても大丈夫だと思います。
解像度は、スマホのカメラで言う「どれくらい鮮明に写真を撮れるか」と言った意味を指します。
趣味特技で言うと「その趣味や特技をやっていない人が知らない『細かなポイント』を知っているかどうか」です。
例えば、サッカーで言えばポジション取りの判断軸についてです。
あまりサッカーをやっていない人であれば大まかなフォーメーションくらいしかイメージがないかもしれませんが、実際にプレーをした経験があれば、「現在ボールを持っている選手と位置は?」「相手DFのポジション取りは?」「自分のチームの戦術は?」「残り時間は?」「自分の体力は?」「空いているスペースは?」など、その他諸々を加味したうえで瞬間的に判断しているはずです。
シチュエーションを設定さえすれば、どのような要素を基に検討を行い、どのような優先度を設定し、どのような結論を導き出すのかを説明できると思います。
これができるのは、解像度の高さがあればこそです。
趣味が「読書」であったとしても、その解像度を上げていくと、「好きなジャンルがミステリー」「特に叙述トリック物」「中でも綾辻行人」だったりしたら、「なぜ綾辻行人が好きなのか」「その表現技法と他の作家との違い」を語れるのであれば十分にアピールできる内容にすることができます。
学んだことは、非常に重要なポイントです。
努力したりのめり込むこと自体は誰でもできることですが、大事なのは、そこからどういった内容を取り入れ、成長できたのかを言語化することだったりします。
誰でも何でも、最初は初心者で右も左もわからず取り組んでいったはずです。
その中で数をこなしていくうちに、「この場合であればこうするべき」「わからない場合はこうやって調べていくのが良い」「これとこれの違いはここにある」といった観点を得て徐々に成長していったのではないでしょうか?
こうした成長のきっかけを思い出したり、印象的なできごととその時自分が考えたことなどを思い出して書き出してみると、どんな学びを得たのかをアピールしやすくなります。
これらを書き出したうえで、「どう後につなげたか」を最後に付けて上げると、アピールできる趣味特技欄の完成です。
経験から学び、それを活かして改善していくことは社会人として必須のスキルです。
この必須スキルを趣味や特技の中できちんと体現できていることを記載できれば、社会人としての基礎力を持ち合わせていることの証明にもなるのです。
100~150文字程度で趣味特技欄を書くためのフォーマット
趣味特技欄はあまり細かく書きすぎてもいけません。
エントリーシートの中での枠で考えると、大体100~150文字前後でまずはまとめられるようにしましょう。
この文字数を基準として、枠が大きかったり小さかったりしたらそれに合わせて書く内容を調整するのがやりやすいと思います。
「100~150文字程度」と言う基準で考えると、趣味と特技を両方書くのはあまり現実的ではありません。
もし両方で書きたい内容があってもどちらかに絞ってしまいましょう。
選び方の基準は、持っているエピソードと応募したい会社が求める人材像を比較した時に、よりマッチしたエピソードを持っている方、で考えてください。
もし両方でどうしても話したいエピソードがあった場合、面接時のトーク内で伝えることも可能です。
「書かない=話せない」ではありませんので、状況に応じてエピソードの出しわけを考えてみましょう。
この前提を踏まえたうえでの大まかなフォーマットは、以下の通りです。
私の趣味は●●です。中でも▲▲を好んでやっています。
▲▲では■■と言う技術があり、これを身に付けるため日々××を練習していました。
この経験から△△の重要性を理解し、社会人生活の中で活かしたいと考えています。
流れとしては
- 趣味や特技の内容をまずは明確に書く。加えて「中でも●●が~」などと記載してその分野に詳しいことを伝える。
- 解像度の高さを伝えるために、経験がないとわからないポイントとそれを理解するために行ったことを記載
- 経験によって得られた知見とそれを活かしている(活かしたい)ことを記載
この流れで書いておくことで、「ただ経験がある」だけではなく、「経験から学び、さらに活用(応用)する」と言う意思があることをアピールすることができるのです。
よくある趣味の書き方例文
良く話を聞く趣味の書き方について、いくつか例文を挙げたいと思います。
以下はあくまでも最低限にまとめた内容になりますので、枠の広さなどに応じてエピソードなどは追加していって構いません。
読書
趣味は読書です。特に「How done it?」と呼ばれるジャンルをよく読んでいます。推理のためには頭の中で整理しながら考える必要があり、結果として人の話を整理しながら考える癖を身に着けることができました。仕事においても教わった内容を整理ししっかりと理解できるよう活かしたいと考えております。
(146文字)
旅行
趣味は国内旅行です。特に城跡を巡る旅が好きで、40以上この目で見ています。毎月2か所以上を目標とし、日によってはレンタカーで300km以上走り4か所回るなどしてきました。この行動力を活かし、現場を第一として仕事にも取り組みたいと考えております。
(122文字)
音楽
趣味は音楽鑑賞(クラシック)です。コンサートも良く聞きに行き、同じ奏者でも日によって全く違って聞こえるその機微を楽しんでいます。この細かな違いに着目する意識を持ち、仕事でもお客様のちょっとした違いをきっかけにした関係づくりをしていきたいと考えています。
(126文字)
ライブ
趣味はライブに参加することです。毎年10か所以上のツアーを回りましたが、ライブの参加には段取り力が重要であると感じました。効率的なスケジュール管理や荷物の整理などを突き詰めていった結果、人との旅行などでも頼られるようになっています。業務でもこの段取り力を活かしていきたいと考えています。
(143文字)
ゲーム
趣味は格闘ゲームです。ゲームと言えどもその駆け引きの中では常にリスクを取って挑戦しています。この挑戦心を活かし、様々なことにトライして経験を積むことで社会人としてもレベルアップしたいと考えております。
(100文字)
カラオケ
趣味はカラオケ(ヒトカラ)です。ただ歌うだけではなく毎回自分なりにテーマを持って練習をしています。発声方法や声質の似せ方、採点機能での点の取り方など、場合によって録音しながらより良い方法を研究しています。この改善意識を業務にも活かし、取り組んでいきたいと考えています。
(134文字)
スポーツ観戦
趣味はスポーツ観戦です。中でもサッカーが好きで、クラブチームの歴史や相手との今までの対戦成績、現在の順位や状況などを頭の中に入れたうえでゲームを観戦しています。
まとめ
ESでの趣味・特技はうまくつかうと面接での強力な武器になる可能性を秘めている項目です。
面接でも雑談の中で振られて盛り上がることが多いポイントだったりするので、しっかりとアピールするポイントをつかみ、的確な表現をできるようにしておきましょう。
大事なのは、実績だけに頼らないことです。
実績があってもなくても、趣味や特技に取り組む中で学んだことは大きな価値を持っています。
だからこそ、そこをしっかりと納得感を得られるように書けることが重要です。
そのうえで、書いた文章は他の人に見てもらいましょう。
一度書いたら終わりではなく、見てもらったうえでブラッシュアップしていくことでより一層クオリティの高いものができるのです。
わからない場合は、東京しごとセンターのような支援施設に行って相談してみてください。
経験豊富なアドバイザーが相談にのってくれるはずです。