企業に提出する職務経歴書を作成する際、アルバイト経験をどう書いたらいいのかは迷うところだと思います。
ここでは、アルバイト経験を書く際の注意点を、ケース別にご紹介します。
アルバイト経験しかない場合、そもそも職務経歴書は必要?
働いた経験があれば職務経歴書でしっかりアピールしよう!
職務経歴書とは、自分の職務経験や能力を応募先企業に対してアピールし、売り込むためのものです。よって、正社員・アルバイトは関係なく、何かしらの仕事に従事した人は提出した方がいいでしょう。
もし、「大した経験はしていないから書くことなんて何もない」と思っている人がいたら、それは大間違い。自分が気づいていないだけで、掘り起こせば書く材料はいくらでもあるのです。
まずは自己分析をしてアルバイト経験を整理し、自分自身の「強み」や「努力したこと」を振り返っておきましょう。アルバイト先の仲間など、周囲に話を聞いてみるのもいいかもしれません。
アルバイト経験を書く際の注意点
応募先企業にあなたのアルバイト経験を伝える際に、特に意識しておくべきことを以下にまとめます。
●大事なのは「何をやったか」がわかるように伝えること
アルバイトであっても、任されて仕事をしたことに変わりはありません。「アルバイトだから」と遠慮したり卑下したりせず、自信を持ってやってきたことを書きましょう。
その時に、単に「アパレルで販売の仕事をし、多くのお客様に販売実績があります」だけでは、採用担当者はあなたがどんなことをしていたのかイメージしにくいはずです。「どんなお客様に対して、日々どんなことを考えながら接客の仕事をしていたのか」を伝えるよう意識しましょう。
実績があれば「年間売上130%を達成し、店舗のアルバイトの中で3位になり表彰された」などと具体的な数字・客観的事実で表すことも大事です。
●「努力したこと」も十分アピール材料に
アルバイトでの経験が実績として残っていなかったとしても、「努力したこと」や「仕事への取り組み姿勢」なども評価に繋がります。
「どんな課題に対してどう取り組んだのか」「自分なりにどのような工夫をしたのか」「日々心がけていたこと」などを、エピソードを交えるなど具体性を持たせながら書けると、「あなたらしさ」が伝わります。
●アルバイト経験をたくさん書けばいいわけではない
複数のアルバイトを経験してきた人はついつい、経験してきたいろいろなことを書きたくなってしまうかもしれません。しかし、これは社会人経験がある人も同じで、たくさん書けばいいというものではありません。
読み手のことも考え、伝えたいことの優先度が高いものから選んで書くよう心がけましょう。
もしくは、職務経歴書では「○個のアルバイトを経験」と端的に記載するにとどめ、面接の場でその意図やそれらの経験を通じて得たことを話せるように準備しておくといいかもしれません。
●ポイントを絞って書くと伝わりやすくなる
アルバイト経験の何を書くか迷った場合は、次の2つを特に意識するといいでしょう。
(1)応募先企業での仕事との共通点
アルバイトで全く同じ仕事の経験がある場合は、その経験を強調すれば、企業にとっては安心材料になります。「すぐに戦力になりそうだな」などと思ってもらえるでしょう。
もしくは、近い仕事や共通のスキルが求められるアルバイト経験があれば、それも十分に有効です。例えば、営業職の募集で接客のアルバイト経験を書いたり、エンジニアの募集でデータ入力のアルバイト経験を書けば、「仕事をすぐに覚えられそうだな」と思ってもらえるでしょう。
(2)汎用性のあるスキル
求人広告やホームページなどから、応募先企業が求める人物像を探り、それに見合う経験や取り組みを強調すると効果的です。あなたの人物像が伝わるだけでなく、「うちの会社に合いそうな人だな」という印象づけができます。
最近は、主体性やコミュニケーション力、協調性を求める企業が多くなっていることから、そうした力があることを伝えられる経験を書くのも有効でしょう。好印象につながるはずです。
●「仕事内容ごと」にまとめる方法もオススメ
職務経歴書に明確なフォーマットはありません。必ずしも時系列や職場ごとにまとめる必要はありません。
いろいろな種類のアルバイトを経験している人は、「対人スキル」「PCスキル」「調査・データを扱う仕事」など、業務内容ごとにまとめる方法も有効です。
アルバイト経験、こんな場合はどう書く?
ここでは、4つのアルバイトのケースについて書き方の例を紹介します。
まとめ方や表現などを参考にしながら、「自分の場合はどのように書いたらいいのか」を考えるヒントにしてみましょう。
【ケース1】
ファストフード店でバイトリーダーをしていた場合
<書き方の例>
2019年4月 | ファストフード店「○○○○」にアルバイトとして入社 |
---|---|
勤務先 | ○○店(従業員15名、席数50、1日あたり来客数350人) |
主な業務 |
レジ打ちなど接客、キッチンでの簡単な調理、店内の清掃 力を入れたこと:来店客に笑顔で挨拶をすることを心がけた。 快適に過ごしてもらえるよう、各テーブルをこまめに消毒したり、トイレの清掃も積極的に担当。 荷物の多いお客様がトレイを下げる際には「そのままで結構ですよ」などと声をかけ、手間取らせないように意識した。 |
2021年10月 | バイトリーダーに昇格 |
主な業務 | 接客のほか、アルバイトスタッフ12名への業務指示だしや、新人スタッフへの教育、店長との定例ミーティングなど |
力を入れたこと |
アルバイトスタッフの教育においては、毎週曜日を決めてスタッフ全員を集め、接客の勉強会を実施。 互いのやり方を見て見習ったり、もっとよくできる方法を皆で話し合うなど、コミュニケーションも大切にした。 悩みや不満を持つスタッフに対してはじっくり話を聞き、必要であれば店長に伝えることで改善にも努めた。 その結果、店舗全体の雰囲気が良くなり、定着率も上がった。 |
●仕事をするうえで心がけていたことを具体的に書く
●何か役割を任されていた場合は、その仕事内容も記入する
【ケース2】
IT企業でサポート業務をしていた場合
<書き方の例>
2019年4月〜現在 | ○○○システム株式会社 |
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仕事内容 | 業務システムの開発プロジェクトにおいてチームのサポート業務を担当。日々のプロジェクトの進捗管理や、資料作成やデータ入力などを行った。 チームメンバーの仕事をサポートするポジションとして、コミュニケーションをしっかりとり、迅速かつ正確な仕事を心がけた。 |
身についたスキル |
Word、PowerPoint/ビジネス文書や企画書、資料作りに使用 Excel、Access/スケジュールやプロジェクト管理のためのフォーマット作成に使用。マクロを組んでデータ集計も行った |
●業務で使用したソフトや言語も記入する
●スキルの話だけでなく、人物面のPRも忘れない
【ケース3】
建設会社などで工事現場のアルバイトをしていた場合
<書き方の例>
2019年4月〜2021年3月 | 有限会社○○○建設 |
---|---|
職種 | 内装工(アルバイト) |
仕事内容・身についたこと |
一戸建て住宅の新築時やリフォーム時の内装を担当。壁や天井のクロスや床材の張り替えのサポートなどを行う。 特にリフォーム時は礼儀正しい態度で接するなど、依頼主が不快な思いをしないように気を配った |
2021年4月〜現在 | ○○○工業株式会社 |
職種 | 鉄筋工(アルバイト) |
仕事内容・身についたこと |
鉄筋工のアシスタントとしてマンションやオフィスビルの建設工事に必要な資材・道具の運搬や、鉄筋の数量確認、簡単な鉄筋の組み立てなどを担当。 図面の見方を覚えたり、道具や材料についての理解を深めることで、指示される前に準備することを心がけた。 |
●仕事を通じて身についたことがあれば書いてもいい
●仕事を覚えるために努力したことなどがあれば書く
【ケース4】
雑貨店で販売員のアルバイトをしていた場合
<書き方の例>
2021年4月〜現在 | 雑貨店「○○○」で販売職として働く |
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店舗概要 | ジュエリー、バッグ、小物など服飾雑貨の販売 |
仕事内容 |
販売員として接客を中心に、商品の在庫管理や検品、ディスプレーを担当。 接客では、自分でも実際に商品を使って感じたことをお客様に伝えるなど、寄り添う気持ちでお客様と接した。 また、どんなファッションが流行っているかを自分なりに情報収集をし、取り扱う商品を店長に提案。 それにより店舗の売り上げが最高で前年同月比25%もアップした。 |
●自分なりに工夫して取り組んだことがあれば具体的に書く
●成果が具体的な数字で示せると説得力が増す
まとめ
職務経歴書を書く際は、応募先企業が求めていることに対して「自分なら何をアピールできるか」を考ながら書くことが大事です。
つまり、同じ職務経歴書を複数の企業に使い回すのではなく、会社ごとに用意する必要があるということです。
面倒だと思わずに、一社一社きちんと準備をして丁寧に作成しましょう。