応募先企業から内定の連絡があった時は、どのような返事をする場合でも、きちんと対応する必要があります。ここでは、内定後の流れとやるべきことをまとめます。

「内定」の定義とは?

まずは「内定」という言葉をきちんと理解しておきましょう。就活における「内定」とは、採用が内々で決まったときのことを指すケースが多いですが、細かく考えると以下のように定義されます。

✓一般的に使われる内定
企業から求職者に対して内定通知書や採用条件通知書が通知されたタイミングを指します。あくまで企業から採用条件が提示された段階のことです。

✓労働契約上の内定
企業が採用条件通知書を送付または提示し、その企業に対して求職者が就業することを意思表示した状態のことを指します。

今の勤務先に退職の意思表示をしたり、選考中の他社に対して辞退の意思表示をするのは、後者の労働契約が成立してから行うようにしましょう。後々でトラブルになりかねないからです。



内定が決まった就活生のイラスト

内定後の基本的な流れを知っておこう

それでは、内定後にどのような流れで何を行うのかを順番に紹介します。

①通知を受け取る

メールや電話で「採用とさせていただきます」「面接に合格しました」などの内容で内定が通知されます。

企業によっては、この時点で労働条件が一緒に伝えられることもありますが、通知だけの場合もあります。まずは内定への感謝の気持ちを伝えつつ、条件を確認したうえで判断したい旨を連絡し、内定通知書(採用通知書や雇用契約書などの場合もあります)を書面でもらえないかお願いしましょう。

②内定通知書を確認する

内定通知書などの書類には労働契約期間や賃金などの労働条件がまとまっています。内容をしっかり確認し、承諾するか辞退するかを決めましょう。いつまでに返事をしなくてはいけないかについても、あらかじめきちんと確認しておきます。

なお、念のために内定通知は保存しておきましょう。通知書をなくしたからといって無効になることはあり得ませんが、受諾後に不当な内定取消しがあった際に重要な証拠となるからです。

③通知に返事をする

返事の内容にかかわらず、やりとりをメールで行っている場合でもまずは電話での返事がいいでしょう。つながらない場合はメールで連絡します。

企業は内定の通知をした時点で受け入れに向けて準備を始めるため、内定を辞退する場合は早めに連絡をする方が迷惑がかかりません。辞退することが申し訳ないあまりに連絡を先延ばしにすることがよくありますが、逆に早く連絡するほうが心証は良くなります。

他社の選考結果を受けてから返事をしたい場合は、通知後の早い段階で一度連絡をとり、具体的な回答日を伝えたうえで待ってもらえないかお願いしましょう。こちらの都合で引き延ばそうとするのではなく、待ってもらえないかお願いする気持ちを忘れないように。その際、「家族としっかり相談したい」などと伝えると、真剣さが伝わるはずです。

④退職日と入社日を決める

入社の意思が固まったら、いつから出社するかを決めます。勤務中の場合は今の会社の上司と相談したうえで退職日を決めることになります。

面接時にある程度の入社可能時期を伝えている場合は、できるだけそこから大きく外れない日で設定するようにしましょう。転職先と今の会社の両方に迷惑をかけないように、あらかじめ就業規則に目を通しておき、退職までに必要な期間を確認しておけば、入社日も決めやすくなります。

⑤雇用契約を結ぶ

雇用契約を結ぶタイミングは会社により異なりますので、内定を承諾した際に確認しておくといいでしょう。内定通知書に承諾した時点で契約となる場合や、その後にあらためて雇用契約書にサインする場合もあります。

なお、入社承諾後や雇用契約を結んだ後の辞退はタブーです。失礼にあたることから同業他社に話が広がる可能性もあり得ますので、承諾の返事や契約書へのサインはよく考えたうえで行いましょう。

⑥必要な書類を準備する

転職時に提出する主な書類は以下となります。念のために、必要な書類についてはあらかじめ転職先企業に確認しておくといいでしょう。その際、「いつまでに提出しないといけないか」についてもきちんと確認しておけば安心です。

<退職する会社から受け取る書類>

(1)年金手帳
転職先で年金の加入手続きを行うために必ず必要になります。
なお、令和4年4月以降は冊子型の年金手帳の交付が廃止となっていますので、それ以降に新卒入社する場合は、かわりに発行される「基礎年金番号通知書」を提出しましょう。

(2)源泉徴収票
転職先の会社が年末調整を行う際に必要となります。退職後、ひと月以内に前の会社から交付されるのが一般的なので、退職時にいつ頃交付されるかを確認しておくといいでしょう。

(3)雇用保険被保険者証
あなたが雇用保険に加入していることを証明するもので、退職時に会社から返却されるものです。受け取ったらそのまま転職先に提出しましょう。

なお転職後には、給与振込届出書(給与の振り込み先を知らせる書類)や健康保険被扶養者移動届(扶養家族がいる人が健康保険に加入する場合に必要)、扶養控除等申告書(扶養控除や配偶者控除などを受けるための書類)、マイナンバーなどの提出を求められることになりますので、指示があったらその都度対応しましょう。


まとめ

企業にとっても、内定を通知することは大きな意思表示です。受諾して入社する場合はもちろんですが、辞退する場合であっても、失礼のない対応を心がけましょう。