円満退社を考えるのであれば、退職の意思表示をどのタイミングで行うかはとても重要です。
退職を切り出す前に頭に入れておきたいこととあわせてご紹介します。
切り出す前の心構え、準備とは
退職を切り出す前にしっかりと行いたいのが、「自分自身の退職の意思をあらためて確認すること」です。
上司に意思表示をすると、「もうちょっと頑張ってみないか」などと説得されたり、慰留のために交渉を持ちかけられることもあるかもしれません。
その時に自分の意思がしっかり固まっていないと、気持ちが揺らいでしまう可能性があるからです。
仮に考え直したとしても、一度退職の意思表示をしている以上、それまでと同じような立場や環境で働けるとは限りません。
退職の意思表示をするのであれば、その気持ちをちゃんと最後までブレずに持ち続けることが大事です。
退職の意思表示をするタイミングをよく考えよう
●いつ伝えるのがベスト?
民法上では「退職希望日の2週間前までに願い出れば退職できる」ことが定められています。
しかし、一般的には企業ごとに就業規則で決められているルールがあります。引き継ぎやお世話になった人へのあいさつなどをきちんと行うことを考えると、就業規則に従って進めましょう。
企業によって、退職日の何日前までに意思表示するかは異なりますが、「1カ月半から2カ月前」くらいには上司に意思表示するのがいいでしょう。
●転職が決まっている場合は?
転職先が決まったら退職しようと考えている場合は、タイミングがあります。それは、「応募先企業から内定通知書が届き、正式に入社することを承諾した後」です。
内定通知書が届いただけでは労働契約上は内定とはならず、その後に取り消しになる可能性もゼロではありません。
口頭で内定を伝えられた場合も同様です。あなた自身で就業することを意思表示して初めて内定となりますので、意思表示を行ったらすぐに退職の意思を伝えるようにしましょう。
●伝えるタイミングで気をつけることは?
退職を伝えることは、企業側にある程度の迷惑や負担をかけることになります。円満退社を考えるのであれば、できるだけ迷惑がかからないタイミングを意識しましょう。
例えば、大きなプロジェクトが進んでいる最中や、重要な会議が続いているようなタイミングは避けたいところです。一区切りつく頃合いを見計らって伝えるような配慮が求められます。
また、時間帯も注意が必要です。業務が立て込んでいる時間帯や、伝える相手である上司が特に忙しい時間帯は避けましょう。
できるだけ相手が精神的にも余裕がありそうなタイミングを選んだ方が、お互いにしっかりと話ができ、スムーズに受け入れてもらえるはずです。
事前に頭に入れておきたい注意点
その他、退職を切り出す前に頭に入れておいた方がいいことをまとめます。
●伝えるのは「口頭」で
意思表示は直属の上司にするのが基本ですが、必ず口頭で伝えるようにしましょう。
メールで一方的に送るのは相手に対して失礼ですし、真意がうまく伝わらなかった場合はトラブルになりかねません。直接話して、その後の進め方などについて指示をもらいましょう。
●事前に上司のアポイントを取る
退職の意思を伝える際は、突然話しかけていきなり「退職します」と伝えるのは心象が良くないので、必ず事前にアポイントをとって伝えるようにしましょう。
アポイントをとる時点で退職することを伝える必要はありません。「相談があるので、お時間をいただけませんか」などと相談すればいいでしょう。
相談する際は、直接話しかけても、電話をするのでも構いませんが、普段やりとりしているメールやチャットツールなどがあれば、それを使うのでも構いません。
●2人で話ができる場所を選ぶ
退職の意思表示をすることは、とてもデリケートな作業です。
多くの人に聞かれるような場所では行わず、上司と2人きりで話せる場所を選ぶようにしましょう。できれば会議室など、落ち着いて話せる静かな場所を選んでください。
●手順をしっかり踏む
退職時の基本は、まずは直属の上司に意思表示をし、その後は上司の判断を仰ぎながら退職の手続きを進めることです。
辞めるつもりだからといって、先に同僚や取引先など社外の人にむやみやたらと話すのはNG。また、自分の都合だけを考えて一方的に話を進めるのも自分勝手な印象を与えます。
円満退社を目指すのであれば、きちんと手順に沿って進めることがとても重要なのです。
●早く伝えすぎない
確かに退職の意思を早く伝えた方が相手に迷惑はかかりませんが、あまりに早すぎるのもよくありません。時間があると「説得すれば退職を先延ばしできるのではないか」という印象を持たれてしまうからです。
退職の意思を自分の中でしっかりと固めたうえで、就業規則に則って引き継ぎや手続きなどにかかる時間を自分なりに計算してから切り出すことも大事です。
まとめ
退職することは、働く社員に与えられたれっきとした権利です。だからといって自分の都合だけでいいように進めていいわけではありません。
円満退社のためには、伝え方や進め方はもちろんですが、切り出すタイミングもとても重要です。その時になって後悔しないように、大事なポイントは事前に頭に入れておきましょう。