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飲食業界における「新型コロナウイルス」の影響
2020年10月6日、厚生労働省は新型コロナウイルス感染拡大の影響によって解雇・雇い止めされた人数がレストランなどの飲食業で「1万人」を超えたことを発表しました。これは、その前の週に突破した製造業に次ぐ規模となります。
GotoEatキャンペーンをはじめとする景気対策はあったものの、飲食業は依然として厳しい業界であり、転職活動をしている人も多い業界です。
今回は、飲食業界から他の業種・業界への転職やキャリアチェンジについてお話しします。
飲食業から他の業界職種に転職する場合の「自己分析」
キャリアチェンジを行う場合は、現在持っている専門スキルを「汎用スキル」に変換することが重要です。
専門スキルとは、例えば「調理」「ホール接客」など飲食業でそのまま使えるようなスキルのことを指し、汎用スキルとは、それらをより抽象的に捉えて「調整力」「会計管理」「渉外対応」といった汎用性の高いビジネススキルに昇華させるイメージです。
例えば、調理の仕事は分解していくと「段取り力」「調整力」「責任感」などの汎用スキルに変換することができます。数日前からの需要予測、発注、下拵えの段取り、常に変化する複数の注文をマルチタスクで並行して捌く調整力、(一般的に)長時間の労働時間をやり抜く責任感などは、企業として評価するに値するレベルの高い能力です。
また、ホール接客の仕事では「接客能力」、「調整力」、「金銭管理能力」などの汎用スキルに昇華することができ、対面接客業全般に通じる「接客姿勢」、座席や配膳、片付けなどの優先順位付けを瞬時に判断する「調整力」、店としての金庫を任される「会計処理」など、汎用性の高いスキルを持っているのです。
また、店長職であれば、PL管理(損益管理)や人材マネジメント(採用の仕事や混雑具合にあわせたシフトの管理、教育など)なども行っているので、それらを強みとしてアピールしていくことができます。
こうした形で、今持っているスキルを棚卸しして志望業界に合わせた自己PRを考えていくことがとても重要です。
業界と業種のどちらを移すかでキャリアプランを考える
実際のところ、「業界」を少しずらす形での転職なら、それまでの専門スキルをそのまま活かして活躍できる可能性もあります。
例えば、レストランのキッチンからテイクアウト型レストラン(ゴーストレストラン)のキッチンへ移動するパターンなどがこれに当てはまります。
作るメニューは変わりますが、これまでの調理スキルを活かして勤務することが可能です。
「業種」を変更する転職なら
もしも「業種」を変更するような転職を行うのならば、転職先の業種において、自分が持っている汎用スキルがいかにマッチするのかを応募書類や面接の場で、きちんと伝えられるように準備しましょう。
例えば、ホールから営業職へのケースであれば「ホールの仕事を通じて、ひどく酒に酔った人への対応には慣れている。すなわち、クレーム対応や営業職ならではの理不尽な対応にも強い。」というアピールを行ったり、「お酒の場において、さまざまなお客さんとのコミュニケーションや突発的な要望に対応してきた。すなわち、営業職として重要なカウンタートークが得意。」などが挙げられます。
業界、業種、どちらの軸であっても、いわゆるコロナ禍の中でも伸びている業界というのは確かにあり、人材不足は発生しています。
そのポイントがどこにあるのかを見極めることが重要なのです。
「できること」と「求められること」の重なりに加え「飲食業ならでは」のアピールを行う
転職活動は自分が持っているスキルと企業が求めている募集要項とのマッチングが基本です。
しかし他業界・業種へ行く場合はそれだけでは足りません。
「できること(スキル)」と「求められること(募集要項)」の重なりに加え「飲食業ならでは」のことをアピールしましょう。
飲食業は、毎日イレギュラーな対応を求められることが多く、かなり柔軟な対応が求められるレベルの高い職場であるのにも関わらず、それらのことがなかなか理解してもらいにくい業種でもあります。
具体的な例を挙げながら、自身にどれだけ適応能力があるかを説明することで他の業界職種でも吸収力高く実務に臨めるかをアピールしてみましょう。
転職活動や再就職活動がうまくいかない時は
今回は、飲食業から他業種・他業界への転職を考える場合のポイントについてご紹介をしましたが、実際のところ、自分のスキルセットや応募したい企業を自分で見つけることは慣れていないとかなり難しいのではないでしょうか。
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