履歴書の書き方で「手書きが良い」、「PC(パソコン)で問題ない」と言う論争は長い間議論されてきました。一昔前ほど手書きを求められることは少なくなってきましたが、これが絶対と言う答えも出てきていないのが現状です。では、どちらで応募するべきか。そして選択のポイントについてまとめました。
できるだけ手書き!ただし半数以上の企業は「どちらでもよい」
PCと手書きのどちらが良いのか、企業の人事担当に聞いたアンケートの結果を見ると、大体が「どちらでもよい」が最も多く、次いで「手書き」、そして「PC」となっていることが多いようです。
この結果から言えるのは、「無難なのは手書き」が結論、と言うことになります。
とは言え、平均的なエントリー数である約30社分の履歴書を手書きするのは「1か所でもミスしてしまうと全て書き直し」と言う手間も考えるとなかなかの重労働になってしまします。
「どちらでもよい」が最も多いのですから、効率と効果のバランスを見極めて手書きで履歴書を書くための時間を少しでも削り、できれば中身で勝負できるよう企業研究や自己分析に振り分けましょう。
PCで作成しても良いと判断できるポイントは?
逆に、PCで履歴書を作成しても良い状況とはどのようなものでしょうか?
応募要項に明記されている場合はそれに従う必要があるため、手書きでの応募が必須であると記載されていれば従うのみです。
難しいのはどこにも書いていなかった場合にどうやって判断するべきかです。明確な答えはありませんが、まずは以下の3つの要素を掛け合わせてみて検討しましょう。
1.業界としての文化(伝統や前例を重んじる業界か?)
IT系のベンチャー企業で手書きの履歴書を求めるところはほとんどありません。業界として新しいというのもありますが、効率化や実益を取るので内容に関係ない手書きを求めることはほとんどないのです。
逆に、古くからある会社や業界は役職者の年齢が高く、手書き文化を
継承されている確率が上がってきます。また、小さい会社で応募が少なかったり、パソコンをあまり使わない接客業などの業界は手書きを求めやすい傾向があると言えます。
2.あなた自身の志望度(入りたい企業か?)
数社であれば熱意もあると思いますし手書きしても数枚なので問題ありませんが、30枚40枚と書き損じも含めて書き続けるのは非常に辛いものがあります。がんばったのにお祈りメール1本で不採用になってしまうと、ただの疲れ以上に精神的な疲労度は溜まってしまうものです。
「志望順位で10位より下の企業については手書きをしない」などと割り切ってしまうのもひとつの手だと思います。
3.現在の就活進捗状況(選考が進んでいる企業があるか?)
今が何月で、面接待ちが何件あって、内定が何件出ているか。さらには志望順位が上位の企業でどのくらい書類審査が通過しているか。人によって状況は様々です。余裕がある人であれば手書きで履歴書を書かなくてもいいかもしれませんし、内定はまだこれからで焦りが出てきているようであれば手書きをがんばってアプローチした方がいいかもしれません。
こうした軸を決めていったん整理してみると、本当に手書きで履歴書を書いて応募すべきかどうかが判断しやすくなります。また、人に相談する時も、この観点で整理した内容を伝えることで適切なアドバイスを貰える可能性を一段上げることができます。
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そもそも、採用担当が手書きの履歴書を求める理由とは?
かつて、アメリカはジョブ型雇用、日本はメンバーシップ型雇用と言われていましたが、今日においても、日本の企業は「会社に対してどれだけ愛着を持ってくれているのか?」を重視する傾向が、いまだに残っているケースが多いように思います。手書きの履歴書は、そのような企業に対して、文字情報以外に「わざわざ手間暇かけて書いた」と言う行動自体が「会社に対する愛着」として評価されやすくなるケースもあるのです。
また、Web上の入力やパソコンで作成した書類でエントリーすることは容易なため、あえて手書きを求めることで、応募のハードルを上げるというケースも見受けられます。
なお、転職活動(中途採用)の場合は、本人の思いや熱意もさることながら、社会人としての基礎的な知識や業務上の専門スキルを求められることが多くなります。これは新卒採用の募集が総合職の一括採用が中心であることに対し、中途採用の募集が職種別の専門職採用が中心であることで分かります。そのため、手書きを求める意味が相対的に薄れてしまうかも知れません。
手書き以外でアピールする方法は?
【参考リンク】 面接における「熱意」の伝え方
就職相談の場で、手書きの履歴書で「熱意」をアピールしたい、とおっしゃる方がいます。ペン習字などを習った経験があり、自分の文字に自信のある方の場合は、確かにアピールになると思います。しかし、文字の美しさに自信がない方も、悲観することはありません。熱意・誠意・本気度は、志望動機や自己PRの欄で伝えることができます。手書きの熱意はあくまでも内容ありきのプラスアルファです。手書きの労力を分析とその表現に割り振るようにしましょう。
もしひとりでは考えるのが難しい場合は、大学の就職課や東京しごとセンターのカウンセリングで相談してみてください。武器は何も1種類ではありません。あなた自身が最も得意な武器を一緒に探し出し、就活での強みに変えていきましょう。