新たな次のステップに進むためには、円満退社が不可欠です。
「辞め方がわからない」という人のために、知っておきたい退職時の基本を紹介します。

しっかりポイントを押さえて円満退職を目指そう

会社を辞めようと思っていても、「上司に引き止められそう」「同僚に説得されそう」「引き継ぎが大変そう」などと考えたりするあまり、退職に一歩踏み出せない人もいるかもしれません。

しかし、迷っていては次のステップに進めません。意志が固まっているのであれば、きちんと退職の意思を伝えましょう。円満退職を目指すには、しかるべき手順で失礼のないように進める必要があります。



辞表を出すのに困っている男性のイラスト

こんな時はどうする?

●退職の意思は最初は誰に話したらいい?

まずは直属の上司に切り出すのが基本です。

気をつけたいのは、直属の上司を飛び越えてさらに上の上司や社長などに先に話してしまうこと。直属の上司の管理能力が問われかねませんし、本人との関係が悪化する危険もあります。

また、同僚や先輩などに先に話し、後から上司の耳に入るようなことになると、心象を悪くしたり、トラブルの原因になることも考えられます。よほど信頼できる相手でない限り、できるだけ話さない方がいいでしょう。

●退職日はどのように決めたらいい?

業務の引き継ぎや残務整理にかかる時間を考慮したうえで、「○月末に退職したい」などと希望日を上司に告げましょう。

会社への配慮は必要ではあるものの、「辞めたいのですが、いつだったらいいですか?」というような相談の仕方をすると、なかなか話が進まずに先送りにされる場合もあるので気をつけましょう。

●円満退社するにはどのくらい前に伝えるべき?

円満に会社を辞めたい場合は、後任者への業務の引き継ぎやお世話になった人への連絡などもきちんと行わなくてはいけません。それらにどのくらい時間がかかるかを考え、退職日から逆算してスケジュールを立てるのが基本となります。

できれば、退職日の1カ月半から2カ月くらい前には上司に意思表示できれば、スムーズに進められるでしょう。

気をつけたいのは、担当プロジェクトの区切りのいい時期など、迷惑をかけないタイミングを見計らって意思表示すること。また、あまりに早く伝え過ぎても「説得すれば退職を先延ばしできる」という印象を持たれてしまうので、注意が必要です。

●先輩や同僚など周囲への報告はどのタイミングで?

直属の上司に意思表示したからといって、すぐに周囲に伝えるのは混乱を招くことにもなります。公表するのは、退職時期や後任者について会社の方針が決まり、退職が正式に受理されてからがいいでしょう。

一番いいのは、上司に「同僚や取引先にはいつ頃伝えたらいいですか?」と聞いて判断を仰ぐことです。

とはいっても、あまりに遅すぎると仕事の引き継ぎなどで迷惑をかけることにもなります。せめて2〜3週間前くらいまでには伝えられるよう、上司にも相談してみてください。

●強く引き留められているのだけど、どうしたらいい?

退職理由が会社への不平不満だった場合、「改善するから」「人事にかけあうから少し待って」などと説得されたり、強く引き留められることがあります。そうならないためにも、退職し転職することが自分にとっての最善の選択肢であることや、家庭の事情など、個人的な理由を話して相手に納得してもらうことが大切です。

それでも強く引き留められる場合は、さらに上の上司や人事担当者などに直接相談してみましょう。

●退職する際に会社に返却しないといけないものは?

会社から貸与されている備品(パソコンやスマートフォンなどの機器、身分証明証、社員章、名刺など)、会社の経費で購入したもの(書籍や資料集、文房具、業務で使用したデータなど)は、退職当日に上司あるいは総務担当者に返却しましょう。

制服や作業着はクリーニングに出してから返却しますが、退職当日まで着用する場合は退職後に返却すればいいでしょう。返却方法については事前に確認しておいてください。

通勤定期券も原則、返却しなくてはいけませんが、払戻額によっては免除される場合もありますので、これも事前に確認しましょう。

健康保険については退職と同時に被保険者資格を失うことになるため、保険証も忘れずに返却しましょう。

●退職するまでに会社から受け取らないといけないものは?

年金手帳と雇用保険被保険者証については、会社が保管している場合は忘れずに受け取っておきましょう。会社の方で準備はしてくれると思いますが、いつ受け取れるかは確認しておくこと。

また、源泉徴収票も受け取っておき、転職先で提出を求められるまで大切に保管しておきましょう。

転職先が決まっていない場合は、雇用保険の失業給付受給手続きに必要となるため、離職票はもらっておきましょう。

転職先が決まっている場合は、転職先で厚生年金や健康保険、雇用保険の資格取得手続きを行う必要があるため、年金手帳と雇用保険被保険者証については入社したらすぐに提出しましょう。

●仕事上のパソコンのデータはどこまで整理すればいい?

会社貸与のパソコンやスマートフォン、タブレットなどの場合、基本的には個人情報や私的な通信記録などのプライベートにかかわる情報を消去する程度で構わないでしょう。業務にまつわる文書などのデータはそのまま残しておいて構いません。

残したデータについては、他の人が見てもわかるように整理しておくと、引き継ぎが楽になったり、退職後に何かあった時も安心です。

もし判断しにくいものがあった場合は、勝手に消去せず、上司に確認するようにしましょう。

●転職先は伝えないといけないの?

基本的には教える義務はありません。教えたくないのであれば、「転職してから改めてあいさつに伺います」などといった感じで濁しておくといいでしょう。

ただ、あまりにしつこく聞かれる場合は、会社名は言わずとも業界くらいにとどめておくといいかもしれません。

●転職先への連絡はどのくらいの頻度で行う?

細かく何度も連絡する必要はありませんが、有給休暇の消化に入るタイミングや退職日はもちろん、引き継ぎの進み具合などを報告しておくと、転職先の会社も安心すると思います。

連絡のついでに「入社までに何か勉強しておいた方がいいことはありますか?」などと付け加えるようにすると、熱意が伝わり印象が良くなるかもしれませんね。



辞表を出すのに困っている男性のイラスト


まとめ

退職するからといって、いい加減な対応や失礼な振る舞いをするのは絶対にNGです。
円満退職を目指すにはきちんと引き継ぎを行うのは当たり前ですし、余裕ができた時には仕事を手伝うなどの心がけも大切です。
「立つ鳥跡を濁さず」の気持ちで退職日を迎えられるようにしましょう。