社会人として身につけておかないといけないビジネスマナーは、就職活動の中でも当然、求められます。
相手や業界によって寛容に受け取られるマナーもありますが、きちんと身につけておいて損することはありません。
ここでは、就職活動の中でどういったビジネスマナーが求められるのかをご紹介します。
なぜビジネスマナーに気をつけないといけないのか?
ビジネスマナーとは、仕事で関わる人に対して敬意や気遣いを伝えるための一連の言動のことです。つまり、それができる人かどうかで、相手があなたに対して持つ印象が大きく変わってきます。
就職後に仕事をする中でマナーがなっていないと、「この人にお願いして大丈夫かな」と思われてしまいますが、それは就職活動でも全く同じです。「入社してから安心して仕事を任せられるかな」「一緒に働く仲間や取引先の人にもこうした対応をするのかな」などと不安にと思われてしまうと、採用担当者も内定を出すことをためらうかもしれません。
ビジネスマナーが身についているかどうかで、その人の「人となり」や、就職活動に対する「本気度」もわかります。応募書類に書かれた内容や、面接での受け答え内容は確かに企業にとって大事な判断材料ですが、それらが全てではありません。常識ある社会人として見てもらえるよう、甘く考えずに、意識して身につけるようにしましょう。
言葉遣い
ビジネスマナーが身についているかどうかがもっともわかりやすいのが、言葉遣いです。ビジネスの場でフォーマルな言動が求められるように、就職活動においても採用担当者に対して敬語を使って丁寧な言葉遣いで話す必要があります。
最近は上下関係をあまり意識させないフランクな人間関係を打ち出す企業も増えていますが、それはあくまで社内のみ。お客様や取引先に対して敬語を使えなければ失礼にあたり、その会社の印象を下げることにもつながってしまいます。
⚫︎「です」「ます」口調で
語尾は「〜です」「〜ます」など丁寧な言い回しを意識しましょう。相手を不快にさせないことが大事です。そのうえでやる気をアピールするためには、ゆっくりと大きな声で、相手に気持ちが伝わるように話すよう意識してください。
⚫︎カジュアルな言葉遣いはしない
あくまでもビジネスの場ですので、友達と話すときに使うような砕けた言葉遣いは避けるようにしましょう。ついうっかり出てしまわないように、キャリアアドバイザーとの日頃のやりとりや面接対策などの場で意識しておくといいでしょう。
⚫︎敬語の誤用に気をつける
尊敬語や謙譲語がうまく使えていないと、言葉遣いへの理解ができていない人とみなされ、社会人としての意識が低いと判断されるケースもあります。
間違えやすい例として、「言う(尊敬語:おっしゃる/謙譲語:申し上げる)」「聞く(尊敬語:お聞きになる/謙譲語:伺う)」などがありますが、よく使いそうな言葉についてはあらためて確認しておくようにしましょう。
また、最近よく見かける「させていただく」を多用しすぎるケースも相手に違和感を与えるものですので、普段から気を付けてください。
身だしなみ
ビジネスの場と同じように、相手への第一印象は非常に大事です。第一印象を左右するのが、身だしなみです。いくら丁寧な受け答えができても、身だしなみがきちんとしていなければ、相手に不安を与え、「この人とは一緒に働きたくないな」と思われてしまいます。
特に、他の応募者がきちんとしている中で一人だけ身だしなみが整っていないと、余計に目立ってしまいます。「できていない」と判断され、減点材されてしまうでしょう。
間違えてはいけないのは、必ずしも高価なものや見栄えの良いものを見にまとう必要はないということ。自分に合ったもので、清潔感のある身だしなみを心がければ問題ありません。
⚫︎服装
基本はリクルートスーツを着用します。色は定番の黒や濃紺、ないしはダークグレーなどの落ち着いた印象を与えるものを選びましょう。柄は無地が基本です。2着用意しておけると、何かあったときに困りませんし、定期的にクリーニングに出すことができれば清潔感も保てます。
シャツは白が基本。淡い色であればカラーシャツも問題ありませんが、派手なものは避けましょう。Tシャツの上にジャケットを羽織るスタイルは、就職活動にはふさわしくないので、ボタンとえりがついたフォーマルなシャツを着用しましょう。きちんとアイロンをかけておくなど、しわがよらないようにしましょう。
ネクタイは派手ではないシンプルなものを。シャツの色と合うものがベストです。
靴は黒が基本です。茶色やネイビーのものでも失礼ではありませんが、スーツと合わせやすい黒が最も無難です。シンプルなデザインのものが良いでしょう。きちんと磨いておき、ピカピカにしておくと清潔感のある印象を与えます。
⚫︎髪型
清潔感が何より大事です。前髪で表情が隠れないよう、整えておきましょう。ヘアースタイリング剤の使いすぎには注意が必要です。明るい髪色を許容する会社が増えていますが、基本的には黒髪、ないしは黒に近い色の方が好印象を持たれるケースは多いです。
⚫︎メイク
就活時に求められるのは「おしゃれ」ではなく、相手に健康的な印象を与えたり清潔感を与えること。ノーメイクでも問題はありませんが、表情を明るく見せられるようなメイクを心がけるといいでしょう。
⚫︎その他
相手に対するマナーとしては、服装の汚れや匂いは御法度です。スーツやシャツにシワがよらないよう気をつけることも大事です。スーツや靴が訪問先に向かう途中で汚れてしまった場合に備えて、汚れを拭き取れるものを持参しておくと安心です。
約束を守る
ビジネスシーンにおいては、相手と信頼関係を築くことはとても大事になります。そして、それは就職活動でも同じです。採用担当者が「この人は信用できないな」と感じたら、一緒に働きたいとは思わないものです。
信頼関係の構築に大きく影響を与えるビジネスマナーが、「約束したことへの対応」です。就職活動の中では、約束を守ることや、時間や期限をちゃんと守ることが何より重要で、採用されるかどうかにも大きくかかわります。
⚫︎時間を守る
セミナーや説明会、面接などに参加する際は、絶対に遅れてはいけません。相手の時間を奪うことにつながりますし、単純に迷惑をかけるからです。少し早めに行動し、余裕を持って到着できるように事前に調べておきましょう。ただし早すぎるのも逆に迷惑です。「10分前」くらいを意識しましょう。
⚫︎期限を守る
提出物がある場合は、期限を守るようにしましょう。忘れないように手帳などにきちんと書く習慣をつけること。少し早めに準備するくらいの余裕が持てると、見直しもできていいでしょう。
⚫︎状況が変わった場合はちゃんと連絡を入れる
例えば、やむを得ずセミナーや説明会、面接などの選考会に参加できなくなった場合は、欠席する旨を採用担当者(企業)に伝えなくてはいけません。参加すると約束している以上、連絡をしないのは相手にとって失礼に当たります。トラブルなどで時間に遅れそうな場合も同様に、早めに連絡を入れることがマナーです。
コミュニケーション
就職活動における選考は一方的なものでありません。採用担当者と連絡を取り合いながら、確認したり、判断したり、意思表示をしたりといったコミュニケーションが欠かせないからこそ、相手を慮った行動が大事になります。
その基本が、あいさつであり、ビジネスでも必要となる報連相(ほうれんそう)です。
何より、円滑なコミュニケーションが取れる相手の方が一緒に働きたいと思うものです。お互いに気持ちよく選考を進められるよう、採用担当者への配慮や気配りを意識したコミュニケーションを心がけましょう。
⚫︎あいさつやお礼は忘れずに
対面で何かしてもらった場合だけでなく、メールへの返信や、電話での連絡の際も、感謝の気持ちを伝えることは大事です。気持ちよくあいさつができる人に、悪い印象を持つ人はいません。
⚫︎メールや電話の返信はできるだけ早めに
企業からの電話を取れなかった場合は、連絡できる状況になったらすぐに折り返しの電話をするようにしましょう。内容に関わらず、自分の都合で相手を待たせてしまうのはよくありません。メールの返信も同様です。すぐに連絡ができる人は行動力がある印象を与えることにもつながります。
⚫︎相手の話を遮らない
相手の話をきちんと聞くことは、コミュニケーションの基本であり、仕事をするうえでも大事な振る舞いです。伝えたい気持ちが強すぎて、相手の話を遮って話し始めてしまう人もいますが、それでは自己中心的な人だと思われてしまいます。心を落ち着かせ、頭を整理したうえでゆっくり話し始めた方が、相手にも伝わりやすくなるでしょう。
⚫︎無責任な発言をしない
真偽を確かめないで適当な話をすると、いい加減な人という印象を持たれ、信頼されにくくなります。また、誰かを傷つけるような発言をするのも絶対にNGです。
まとめ
ビジネスマナーというと、ちょっと難しそうなイメージを持つかもしれません。しかし、どれも日常生活を送るにあたっても大事なことであり、決して特別なことではありません。基本的に社会人になってからも求められることばかりですので、早いうちに意識して身につけておきましょう。
自分では気づきにくいことや癖などもありますので、その場合は東京しごとセンターのキャリアアドバイザーなどのプロに相談して、客観的な意見をもらうことも有効です。頑張ってください。