コロナ禍の面接ではマスク着用が当たり前でしたが、コロナが5類感染症に移行となり、マスクの着用は個人の判断に委ねられるかたちになっています。
2023年3月に厚生労働省から指針が発表されている以外に決まったルールはない中、採用面接時のマスクの着用はどのようにすればいいのでしょうか。
ここでは、面接時の「マスクのマナー」について解説します。

決まったルールはないので確認しよう

面接時のマスクの着用については、残念ながら決まったルールはありません。企業や経営者によって考え方が異なりますし、業界ごとにマスクを着用することの重要度も違えば、その地域のその時の感染症の流行状況によっても判断が変わります。

それならば、いちばんいいのは「応募先企業に確認すること」です。自分の判断で決めずに、企業の判断を仰ぐのが、最も間違いがない方法です。



マスクを着けている男性の写真

どんなふうに聞いたらいい?

いちばん安全な方法としては、面接会場に入るところまではマスクは着けておき、最初に「マスクはこのまま着用していた方がいいでしょうか?」と確認したうえで、企業側の判断に応じて着脱することです。

面接官がマスクをつけているかどうかは気になるところですが、つけている場合であっても、それは応募者に気遣っているのか、社内や業界の慣習なのか、体調面でのことなのか、その時点でははっきりわからないものです。

「つけていないから自分もつけなくていい」「つけているから自分もつけないといけない」などと勝手に判断せず、最初に確認しましょう。そうすれば、余計な心配をすることなく、すっきりした気持ちで面接に入れます。

●どうしてもマスクをつけて受けたい場合

ただし、どうしても表情を見てほしいなど、マスクを外して受けたい場合は、「マスクを外してもよろしいでしょうか」と聞いてみることは失礼にはあたりません。それで問題なければ「そのようにさせていただきます」と答えたうえで外しましょう。

逆に、できれば外したくない場合は、ひとまず「マスクはどのようにしたら良いですか?」と聞いてみましょう。言われた通りの対応をすることになりますが、「どちらでも構いませんよ」など、こちらが判断してもよさそうな場合は、「それではこのままで受けさせていただきます」と伝えれば失礼にはなりません。

●可能なら事前のやり取りの中で確認しておく

当日に判断するのが不安であれば、事前の日程調整の段階などでマスクの取り扱いについて確認しておくといいでしょう。以下を参考に、失礼のないように聞いてみてください。

メールの場合、このような文章で確認してみましょう。

面接の日時について○月○日○○時~ということで承知しました。

お忙しいところ大変恐れ入りますが宜しくお願い致します。

なお、当日はマスクを着用してお伺いさせていただきますが、面接中はどのようにさせていただくのが宜しいでしょうか?

貴社としての方針などがあれば、ご教示いただけますと幸いです。

電話の場合は、このようなやり取りで確認してみましょう。

○月○日○○時~ということで承知しました。

恐れ入りますが、当日は宜しくお願いします。

ちなみに、面接内での「マスクの着用」について、どのようにさせていただくのが良いか、今の段階ですこし気になっているのですが…。

御社としての希望や方針などは、ありますでしょうか?

マスクを着用しての面接でも、外す場合がある

企業によっては、マスクを着用しての面接であっても、一時的に外すように指示されるところもあります。
本人確認のためや、担当者が「表情を見たい」と考える場合などです。その時は、マスクをそっと取り、笑顔を見せればいいでしょう。

もし、マスクを外すことなく面接が終わりそうな場合、ちょっとしたテクニックになりますが、面接の最後などにあえて少しだけマスクを外し、表情を見てもらうのもアピールになるかもしれません。

「本日はマスクを着用した状態で失礼させていただきましたが、このような顔をしております。
ご縁があった場合には一生懸命頑張りたいと思いますので、何卒よろしくお願いいたします」などと述べ、それまでの雰囲気を壊さない「良い笑顔」を見せると、良い印象が残るでしょう。

●エチケットにも注意!

マスクを外すことになった場合も考えて、口元は清潔感を意識しておきましょう。特に口臭対策は非常に大事です。面接前に歯を磨いたり、口臭予防のためのアイテムなども活用し、相手に不快感を与えないよう気をつけてください。

●外したマスクの取り扱いにも気をつける

外したマスクの扱い方を見て、その人の振る舞いや人となりをチェックする場合もあります。必ずカバンや上着、マスクケースなどにしまいましょう。

マスクをテーブルの上に置いたままにするのは、衛生上よくないうえに、見た目もよくありません。手に持ったままで面接を受けるのはもってのほかです。

●オンライン面接の場合

マスクの着用は感染症の予防が目的ですから、オンラインでの面接の場合はマスクを着用する必要はありません。

ただし、自宅以外の場所でオンライン面接を受けるなど、周囲の状況からマスクを着用しないといけない場合は、最初にその旨を伝えるようにしましょう。

対面ではない分、表情や声が伝わりにくいのがオンライン面接の難点です。できるだけマスクはせず、顔が見える状態で面接を受けるようにしたいですね。

その他の注意点

●マスクの選び方

服装と同様に、ビジネスシーンに合った、派手すぎないものを選ぶのが無難です。
無地で、色は白であれば間違いはありませんが、薄いグレーやベージュなどの控えめで落ち着いた色でも問題ありません。汚れがない、新しくてきれいなものを用意しましょう。

●予備を忘れずに

面接に向かう途中で汚してしまったり、落としてしまうなどの不測の事態がないとも限りません。普段から予備のマスクをカバンに2〜3枚入れておけば安心です。

●メガネの人は曇り止め対策を

メガネをかけている人は、マスクを着けているとレンズが曇ってしまうことがあります。面接官にとっては表情がわかりにくくなりますし、あなた自身も曇りが気になって面接に集中できなくなります。曇り止めを防ぐためのグッズなどもありますので、事前に対策を考えておきましょう。

●大きめな声を意識する

マスクをしていると口元が隠れていることもあり、声が相手に伝わりにくくなります。少し大きめの声を出すように意識したり、大きく頷くなど多少大きめのアクションを心がけましょう。


まとめ

面接においては、マスクについての決まったルールがない分、きちんと確認しようとする姿勢を通じて「この人はちゃんとした人だな」と良い印象を与えられる可能性があります。

また、事前に確認することで余計な心配や不安をなくすことができ、面接に集中できることも大きなメリットです。自分本位で考えず、企業側の確認をとりながら、ベストな方法を見つけるようにしてくださいね。